小笠原 泰 教授 OGASAWARA Yasushi

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小笠原 泰 教授 OGASAWARA Yasushi

小笠原 泰 教授 OGASAWARA Yasushi

(担当科目) 日本のビジネス文化 / (Lecture) Business Culture in Contemporary Japan 
(開講言語) 日本語 / (Language) Japanese

デジタル・テクノロジー革新とグローバル化による世界の Grand Transformation について – 個人と企業と国家の間でのパワーシフトと20年後に「SURVIVE しているために」を考える –

ゼミからのメッセージ

こんにちは! 小笠原ゼミ14期です! 私たちのゼミでは普段、先生から与えられた課題図書を事前に読み、教室で議論をしています!取り扱うテーマはテクノロジーやジェンダーなど幅広いです! 多様性そのもの、個性豊かな人が集まっていて楽しいです♪みんな建前なしで本音でぶつかる、というこでぜひたくさん質問してみてください♪

・演習テーマ

社会のシステムは、社会、経済、政治関係によって成りたっていて、歴史的にこの三つの力関係は大きく変化(Grand Transformation)してきています。現在は優位になりつつある経済と権威と支配力(パワー)を失いつつある政治(国家)が対抗している状況と言えるでしょう。

「デジタル・テクノロジー革新と融合したグローバル化」により社会を開いたことで、個人と企業がよりパワーを獲得する一方、国家はパワーを失ってきています。その中で、先進国では、国家に対してパワーを強めた(自律した)個人とパワーを減じている国家に依存する、 パワーが弱まった個人(パワーの低下が止まらない国家は、彼らをパワーの再強化に利用します)への二極化(分断と格差)が進行しつつあります。つまり、国家と企業と個人の3者間のパワーバランスが、「開いた世界」を志向する人々(anywhere)と「閉じた世界」を望む人々 (somewhere)との間で異なっているということです。

トランプ大統領を選出した大統領選挙や Brexit の国民投票やフランス大統領選等の結果が示したように、この分裂は拮抗していて、自分の陣営により多くの人を引き込もうとする綱引きの状態であり、それは現在も続いていると思います。パワーが低下する国家は、国民国家という存在の性格上、より強い主権行使を望むので、コントロールしやすい「閉じた世界」に国民を引き込むことを望みます。事実、国家は、現在進行形のコロナウイルスの世界的蔓延やロシアのウクライナ侵攻を好機到来とし国家権力の再強化に利用しています。経済安全保障をことさら強調していますが、経済的競争力の裏打ちのない国家権力の強化は長くは機能しません。

問題は、今後の世界は「開いた社会」と「閉じた社会」のどちらに向かうかにあると思います。自由民主主義思想(選択肢の拡大と選択の自由)と市場経済を批判するのは構わないのですが、経済力が弱まり、パワーが減じていく国家は、果たして「閉じた社会」を望む人々を救えるのでしょうか。強いアメリカを主張したトランプおよび企業統制を強めるバイデン大統領ですが、かえって、アメリカはイノベーションという成長のモメンタムを失い、国際社会での強さ、そして、権威さえも失うのではないでしょうか。「貧しい民主主義より、豊かな権威主義」を邁進する中国も国家統制を一層強化する方向に向かうとアメリカと同じ道を歩む可能性が高いでしょう。

ポピュリズムの隆盛の本質は、多様化を認め、変化が当然の「開いた社会」を望む(あらゆる変化に可能性を見いだし、国を消極的にしか必要としない)人々と、多様化を認めず変化 を拒否する「閉じた世界」を望む(あらゆる変化をリスクに感じ、国を積極的に必要とする) 人々の分裂が起きているということです。かつてのように、国境という高い壁を前提に国家 が主権を単独で行使し、そのなかで企業・市場と国民(個人)と国家のインタストは当然一 致するという三位一体的な考えは急速に弱まりつつあると言えます。事実、自由民主主義思想がグローバルな形で個人や企業・市場に共有化される中で、国家のパワーの低下と言う大 きな流れが反転することはないと想定しています。つまり、今後の世界では、もはや、国家 は主権を単独で行使できる絶対的な存在ではなく、国家はグローバル化する世界の中でのプレーヤの一つであると考えることが必要となります。つまり、企業・市場、個人と並んだ、相 対的プレーヤとしての国家とは、どのような存在であり、どのように変質していくべきであ るかを見極める必要があります。それに応じて、企業や社会や個人の在り方も変化します。

現在の日本の状況は、「変わりたくない、変えてはいけないと悪あがきをする国家」と「生き残るためには急速に変わらざるを得ないことを理解し、変身を始める合理的な企業」、その狭間で「リスクテイクの判断を迫られる、変わらなければいけないと思いつつ、体が動かない個人」ということができると思います。

このような急速な環境変化を踏まえて、ゼミ生一人一人が個人として、どのように「デジタル・テクノロジー革新と融合した急速なグローバリゼーション」という環境変化に適応し、 多様化する「開いた世界」の中で、20 年後を見据えて働くとは何かを考える、つまり、どう自分を VERSION UP し、SURVIVE するかを考えるのが、ゼミのテーマです。

・授業内容 / Activities

<3 年次 / 3rd Year>
★ 疑念と批判的姿勢をもって、データと資料に基づいて考える態度を、個別ケースを題材として、身に着けるようにします。
★ グローバル化の進展とデジタル・テクノロジー革新による環境の変化を包括的に捉え、グローバリゼーションとはなにかについての認識を多角的に深めます。
★ 国家のパワーの低下と企業と個人のパワーの増大と社会の多様化について多角的に議論します。
★ ゼミ生各自の向かうべき方向性を見出す基礎を固めたいと思います。


<4 年次 / 4th Year>
★ ゼミ生一人一人が個人として、どのように「デジタル・テクノロジー革新と融合した急速なグローバリゼーション」という環境変化に適応し、多様化する「開いた世界」の中で、20年後を見据えて働くとは何かを考えていきます。
★ 上記を踏まえて、課題テーマについてのグループワークを行い、その結論をまとめてグループで発表します。

* ゼミ論の有無 / Thesis

ナシ(代わりに卒業発表を行います)※ゼミ論を希望する人は、相談してください。

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